使われなくなった古い建築に新しい機能を挿入して再生する。
リノベーションには新築にはない魅力があります。
まちのマイナスをプラスに転換
総務省の調査によれば全国での空き家は2013年時点で820万戸あり、2033年には2150万戸に達すると予測されています。
特に少子高齢化が進む地方都市のまちづくりにおいてはこの空き家をどう活用していくかが、歴史や文化の継承、建設コストの面においても重要だと考えています。
空き家はそのまま放置されればまちにとってのマイナスでしかありませんが、それを地域のための施設へとリノベーションすればまちにとってのプラスに転換できるのです。
綿密な調査
古い建築を適切に活かすためには綿密な調査が必要です。
ひとつ一つの部材を丁寧に実測し、時に架構を推測しながら全体を明らかにしていきます。
これは南部町の古民家のリノベーションプロジェクトにおける調査の様子です。
この古民家は築100年を超える明治時代の建築です。
間口が広く、1階前面道路側には広い土間があり、ここをうまく活かせば地域の人を呼び込む場所が作れそうです。
土間は裏側の庭まで続いており、その庭を抜けると現在建設中の拠点施設につながります。
屋根の架構は大部分が力強い丸太組み。
一見荒々しいこの架構も図面に起こすととても合理的に組まれていることが分かりました。
小屋組みの架構を見せるデザインもできるかもしれません。
耐震性の問題や様々な法規制など、クリアしなければならない課題は多いですが、それもきちんとした調査がベースになってきます。
南部町の古民家は子供のための施設にリノベーションしていく予定です。
過去の記憶をつなぎ、過去と対話するような空間をつくっていければと考えています。