歩くのが楽しくなるまちをつくる
大聖寺駅前の大通りに面するJA店舗の建替え計画。代々受け継がれてきた巨木の桜を囲む形で建物を道路に寄せ、交差点に広場を設けることで、駐車場が目立ち閑散とした大通りに対して賑わいが生まれるように意図した。広場にはストリートファニチャーを設けて散歩や信号待ちの人の休憩、中高生の登下校の談笑など、地域住民が自由に過ごすことができる場を提供している。通常は建物に掲げる店舗サインも、ベンチやデッキと並べて計画することで環境に溶け込み親しみが持てる場所になるように計画した。これらのまちへの配慮によって、歩くのが楽しくなるまちをつくることを目指した。


オープンな大空間を木造でつくる
江戸時代の町割がそのまま残る城下町にふさわしいスケール感と、外部に対してオープンで将来の変化にも柔軟に対応できる大空間を両立するために、大断面集成材の木造ラーメン構造を採用した。
事務室上部に方杖を用いることで柱のない大空間を実現し、客溜りと事務室には死角がなく、レイアウトを自由に変更できる。


OAフロアを利用した床ふく射式冷暖房
既存建物では窓口スタッフの足元が寒く、個別ヒーターの増設でブレーカーが落ちるなど、調査時からスタッフの環境が問題になっていたことから、事務室にはOAフロアの床下を利用したふく射式冷暖房を採用した。大空間でも居住域を均一に空調することが可能になり、冷暖房ともに直接風が当らないことから、長時間事務室で働く従業員にとって居心地のよい空間を実現している。
床下にはダクトがないためOAフロアの配置変更にも対応しやすく、将来的な空調改修コストも抑えることが可能なシステムを採用している。

まちにひらく
会議室は外部と連続したテラスによって内外一体的に活用できる。組合員の確定申告会場や、JAのイベント時には地域に開放できるように計画した。
西面には雁行形の出窓と木ルーバーを組合せることで、西日を遮りながら視線が通り、交差点に対して開かれたイメージをつくっている。こうしたまちとのかかわりによって、この場所が地域にとってより身近な存在となることを願っている。


