オモロイ場所に引っ越し、みんなでオモロイ地域をつくっていく
青年海外協力協会(JOCA)の近畿支部の移転プロジェクト。元は梅田のオフィスビルに事務所を構えていたが、地域の人々と接する日常を求め、大阪下町の風情が残る摂津市正雀町に移転することとなった。
移転先には商店街に隣接する築50年の文化住宅(昭和中期の長屋の木造アパート)を選定した。
この建物には当初クリーニング店やスナックなどが入居していたというが、建物の老朽化が進み、花屋のみを残してすべて空室となっていた。このような寂しい情景は、商店街があるまち全体からも感じ取れた。
改修計画では、地域に開かれたオープンなオフィスを目指した。
外部の改修は最小限に抑えているが、木製建具を新設し、内部の活動を外に見せることで地域とのつながりをつくることを意図している。
多用途な活動に応えられるよう、1階は3室の間仕切り壁を取り払い“がらんどう”の空間としている。カフェ機能を備え、地域の方々が各々好みの場所を見つけ、くつろげる空間構成とした。
2階はほとんど手を加えず、当時の雰囲気をそのまま残して使うこととしている。
また本プロジェクトは地域参加型に重点を置いており、テーブルや収納などの家具は地域住民や青年海外協力隊OBOG、JOCA職員など延べ100人の方々によるセルフビルドによってつくられている。
地域の人々とともにつくられたこの小さな場所が“人をつなぐ拠点”となることを願っている。