金沢大学角間キャンパスの中央に位置する食堂の改修。3年前から使われていなかった食堂を新たに改修した。ナカフクリ食堂は6つのブランド(ごちゃまぜ×ゴーゴーカレー、卵かけ御飯本舗、鬍鬚張魯肉飯、中華そば いぶき、丹うどん、ころころ食堂)が揃う。また、就労支援として障害のあるスタッフが調理等の業務を行っている。
大きなワンルームの空間であっても客席に落ち着きをつくるために、北側の床をベニヤで上げて視線の変化を持たせている。元々、外部席への出入口に腰壁があったが、その段差を併せて解消することも意図している。
既存の粗を残したリノベーション
コストの厳しさと工期の短さを考慮して、極力既存のものを活かす改修を行った。床と壁は仕上材を剥がし、既存のコンクリートを現し、床の糊もそのまま残した。天井も一部剥がし、既存の軽量鉄骨下地を現しとしている。こういった既存の粗を残すことで、学生が気を遣わず自由に振舞えるいい意味でのラフな空間を目指した。椅子やソファも使われなくなった古い大学の物品を活用し、大学の歴史・記憶を継承している。
アウトドアにまで広がる食堂
金沢大学は金沢市の山間部に位置することから眺望がとても良い。そのロケーションを活かすように外部まで食堂を拡張させた。タープやウッドデッキ、キャンプチェア等、アウトドアの要素を取り入れている。アウトドアでのゼミや、焚火を囲んでのバーベキューを楽しめる。
落書きによるイノベーションの重なり
「What’s new today?」「カレーも論文も一晩寝かせてからのCHEMISTRY」といった学長・教授から募集したメッセージを落書きとして店内に書いている。学生も落書きしていいルールとしているため、落書きが新たな落書きを生み、年々落書きが蓄積され、学生・教授のイノベーションが店内に積層していく。そういった学生と教授の学び合いによってインスパイアされていくプロセスを可視化した。
学生が自由に使い倒し参加できる場
サークルのチラシ等を自由に貼れる黒板や、ゼミ利用できるミーティングコーナー等、学生たちの活動や情報発信をサポートしている。また、食堂内には学生の起業チャレンジスペースも設けており、「ころころ食堂」は廃棄予定の規格外野菜を使用した地球にやさしいスープのお店を学生が出店している。また、テーブルは学生とスタッフが共同してDIYで製作した。汚れをふき取りやすさとコストを考慮して、黄色の型枠用合板を天板に使用している。