敷地は駒ヶ根駅前商店街の一角。昭和40年代に再開発されてから更新されておらず老朽化が進んでいる商店街である。駒ヶ根駅周辺では⼈⼝の減少が顕著であり、空き店舗も増え、商店街の共助の維持が困難になりつつある。計画敷地も旧信用金庫と物販店舗の2つの建物が非常に老朽化している状態であった。
本計画は居住⼈⼝だけではなく、就業⼈⼝や交流⼈⼝の増加、商店街の活性化を図ることを目的に、共同住宅と店舗を建設するプロジェクトである。共同住宅12戸、店舗6軒を計画。住戸はSOHOとして職住⼀体の住まいにより、個人の商いや若者を応援、まちなか居住を推進させる。

商店街から人を引き込むように敷地内に十字に路地を通した。その路地に面して店舗や住戸を配置し、人の動きが見える外部空間としている。また路地を通すことで、建物のボリュームは4分割され、周囲の建物規模に合ったスケールとしている。また、国道側には公開空地を設け、⼀般の⽅でも入りやすい計画としている。このように一般的な共同住宅における共用部を外部空間として置換し、敷地内の賑わいや⼈の営みが通りにあらわれ、商店街のイメージが向上することを図っている。こうした外部空間が商店街との関わりをつくる場所となりえると考えている。

商店街の平面的な人の流れが立体的に連続していくように、路地を2階~3階にまで延長させ、鉛直性のある歩行空間をつくった。道からは2階で談笑する住民が見え、2階に上れば遠くの山々が見える、といった今までの商店街になかった新たな視点が得られる場となっている。
