市役所の執務室をカフェにリノベーション
輪島市役所内のカフェ&売店。元々、市役所の土木課・都市整備課の執務室であった部屋をリノベーション。天井、壁、床すべてを解体し、鉄筋コンクリート造の躯体をあらわしにしている。一見無機質な空間だが、カラフルなコーヒードリッパーや家具、グリーンを引き立てるデザインとしている。
居場所づくり
壁や天井もなく、建築としてはほとんど何も施してないと言ってもいい。その代わりに床にラインを引き、グリーンによって少し視線をさえぎることで、同一の空間の中にそれぞれの居場所ができるよう計画している。
当初ミーティングブースを製作する予定であったが、コストを抑えるため、床にラインを書きミーティングの場所をつくっている。
ハンドドリップで入れるコーヒー
カウンターには10色のORIGAMIドリッパーが並び、1杯1杯ハンドドリップで入れている。お客さんにとって自分のコーヒーを丁寧に入れてもらえることが認識できる配置にするとともに、就労支援として働く障害のあるスタッフがコーヒーを入れる姿が絵になり、活躍する姿を見せていく。また、コーヒーチケットやマイカップ置場という、毎日来る市役所職員にとって嬉しい機能も備えている。
市役所職員と買い物難民を支える売店
売店スペースでは市役所職員のための弁当やパン、カップラーメン、お菓子等を購入することができる。加えて、運営者である輪島KABULETは能登地方の買い物難民に対して、移動販売事業を行っており、その商品のストックをこの売店が兼ねることで移動販売のハブ的役割を果たしている。
ABWの考え方を取り入れたオフィス空間
このカフェは、市役所内にある単純なカフェという位置付けだけではない。今回の計画をするにあたって、現在の市役所を現地で調査している。その結果、執務スペースと打合せスペース以外の場所が足りないことが分かった。その足りない機能をこのカフェが担えば市役所全体として働きやすい環境になるのではないかと考え、ABW(Activity Based Working)という新しい働き方を取り入れた場所としている。そのため、コーヒーを飲みながら休憩だけではなく、個人ワークや複数人でのミーティング、プレゼンテーションといった業務もできるよう、様々なシーンを同一空間内に設け、目的や用途に合わせた使い方ができる空間としている。