ごちゃまぜのまちとして完成から11年を経たShare金沢(シェア金沢)本館の増築計画。
Share金沢は障がい者だけでなく健常者も、また若者も高齢者も分け隔てなく一緒に暮らせるまちとして、児童入所施設、サ高住、学生住宅といったまちに暮らす機能に加えて、料理教室、ウクレレ教室、自然学校、ボディケア、アルパカ牧場、ドッグランなどの交流施設が地域の中に配置されている。

さらに本館には温泉、食事処、ギャラリー、高齢者デイ、生活介護が複合的に配置されており、福祉利用者から地域住民まであらゆる人に利用されている。
そしてこのまちは小さな部分のシーンを積み重ねて全体の街を創りあげていくという方針に則って、樹齢250年超のしいの木、旧病院の樹木、石垣といった既存の緑や地形を活かしながら、けものみちや小川などの新しい緑と水によるヒューマンスケールのコミュニティ環境が成立しており、時間をかけてより豊かに育っている。

この超複合的なごちゃまぜのまちに以前から建っていたかのように参加しつつ、健康に暮らすための運動施設である会員制のウェルネスと、外から訪れる人のための環境を挿入した。



本館廊下の突当り、露天風呂の塀、キュービクルに囲まれた丘上の未利用地で、建築面積120㎡分と非常に限られた敷地を対象として増築した。2階建てとした場合の建築基準法上の制約と景観への配慮から、木造地上階+RC地下階としてボーリュームの半分を地面に埋めこむことで、必要面積を確保している。


地下のスタジオはけものみちに隣接し、既存の豊かな環境へ活動を開くことを意図した。外部にはデッキを設けることで、住民が利用する既存のテラスとは別に、ウェルネスの利用者やドックランや散歩に来た地域住民などの来訪者が自由に使える新しい居場所をつくっている。

本館は当時の行政指導や補助金上の問題から受付と温泉が離れており、廊下の奥に人を誘導することが難しかった。今回の増築によって本館全体に活動が生まれ、人が行き交うことで、さらに活気のある場所に変化しているように感じている。
