“駅フリースペース” 兼 “飲食店” - 公園のように自由な場所に
小松KABULETは小松駅内の“フリースペース” 兼 “飲食店”である。駅の待合や勉強、PC作業など、飲食を伴わない利用も自由にできる場所である。そのため、公園のように自由に出入りができて、駅への近道として通り抜けてもよく、飲食をしなくても入っていい空気感が創出されることを目指した。コンコース側と外部通路側の2面をフルオープンできる開口部にすることによって、内外の境界が緩和され、様々なところから自由に出入りできるように計画した。また、その大きな開口部から店舗内部への視線がよく通るとともに、目を引く色の内装材料や様々なコンテンツを用いることで入ってみたくなるファサードとした。
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駅コンコースから見る。フルオープンできる開口部によって店舗内部の様子がよく見える。
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入口付近より店内を見る。右手にレジ、左下は販売する地元の採れたて野菜。
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外部通路からテラス席を見る。内外を一体的に利用。
1. 様々な人々を受け入れる場所
駅という立地上、様々な目的を持った人々を受け入れる場所を想定した。客席としては、高齢者に人気の「テーブル席」、1人でPC作業もできる「ビッグテーブル席」、お子様連れや中高生に人気の「畳席」、手早くご飯を食べたい人は「カウンター席」等、様々なニーズに対応できる客席づくりをしている。物販コーナーでは、地元の採れたて野菜や駄菓子を販売することで地域の人が日常的に訪れると共に、観光客に向けた小松のお土産品も販売することで、様々な人々が同居する場所となっている。また、就労支援として障害のあるスタッフや海外からの留学生が調理等の業務を行っている。
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右手にビッグテーブル席、左手前は販売する九谷焼。奥にカウンター席。
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畳席は天井を下げるとともに床高を上げて、落ち着ける場とした。右手は昔懐かしいスマートボール・ラッキーボール。
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物販コーナーでは、地域住民に向けた野菜や駄菓子、観光客に向けた小松のお土産品を販売する。
2. モノによる居心地の良さ
様々な人々が行きかう場所だからこそ、“居心地のいい場所”をつくることを心掛けた。そのため、店内の所々にモノを置くことで適度に視線が遮られ、落ち着きができるよう計画した。購入できる商品や観葉植物、本、おもちゃ等、様々なモノであふれている。モノだらけの楽しさ、モノに満たされる幸せを感じられる場所である。また、モノによって“様々な所に焦点ができる”と考えた。訪れる度に新たな発見ができ、楽しみながら店内を回れる、そんな焦点を各所に配置した。
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購入できる商品、本、おもちゃ等、店内は様々なモノであふれている。棚の上や天井から吊っている観葉植物も購入可能。
3. 小松駅前商店街の記憶
小松駅の近くには駅前商店街があるが、年々閉店する店舗が増えている。そんな消えゆくお店の記憶を残し、思い出をきっかけに会話が生まれる場所になればと考えた。店内には駅前商店街の協力のもと、かつて小松を支え、愛されたお店の面影を散りばめている。黒のカウンターは商店街で50年親しまれた純喫茶「d’azur」、赤のカウンターは塩焼きそば発祥の「小松中華」を再現している。商店街の思い出を残し、様々な人の記憶をつなぎ合わせ、ここから小松のまちづくりに繋げていくことを目指している。
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閉店した純喫茶「d’azur」を再現したカウンター。背面の絵画は実際お店に飾られていた油絵。
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閉店した「小松中華」を再現したカウンター。落ち着きを作るため、暖簾をかけた。
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純喫茶「d’azur」と「小松中華」のかつての姿
平面図
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